セラムの概要
セラムの特徴
■塩に強い、塩害に強い
■塗膜と母材との接着力が高い
■高い耐摩耗性・耐薬品性
■弾力性を持つ(母材の熱収縮に追従性がある)
■施工する母材を選ばない(アルミニウム、チタン、コンクリートなど)
■下塗りのプライマーが不要(下地処理は必要)
■市販の塗装機で塗布ができる(エアレス、刷毛、ローラーなど)
■部分的な補修塗装にも対応
■ゴムライニングの代替塗料として
セラムはなぜ塩に強いのか?
セラムは微粒のセラミックス粉をエポキシ樹脂で繋いだ特殊塗料(コート材)です。
またこのセラミックスを高い混合比率で配合していることが大きな特徴です。
下図はセラムの塗装膜断面の顕微鏡写真です。
セラミックスの粒子が複雑に絡み合い、迷路状になっていることがわかります。
この迷路状のセラミックス格子が、水分・塩分・薬液などが母材表面へ侵入することを防ぎます。
またセラムの母材との接着強度はおよそ30Mpa(型式による)もあります。
これは一般的なガラスフレーク入りエポキシ塗料(7Mpa)の4倍以上となります。
海水の成分毎の浸透圧はNaCl=14.3Mpa、FeCl=24.1Mpa、CaCl2=25.3Mpaであることから
高い接着強度を誇るセラムは、浸透圧による塗膜剥離を防ぐことができます。
このことから「塩に強い塗料」となります。
顕微鏡写真
セラムとガラスフレーク入りエポキシ塗料との性能比較
セラムと一般的に耐食・耐磨耗塗料として普及しているガラスフレーク入りエポキシ塗料を比較します。
塗装膜厚はセラム500μ、ガラスフレーク入りエポキシは1000μとしました。
これは実用面からセラムの塗装膜厚が500μで十分なのに対し、ガラスフレーク入りエポキシの実用塗装膜厚が1000μ必要であるためです。
セラム | ガラスフレーク入り エポキシ塗料 |
|
有効塗装膜厚 | 500μm(1回塗り) | 1000μm(500×2回塗り) |
耐摩耗性ASTM D-4060 1000回テスト | 約10μm磨耗 | 約150μm磨耗 |
耐衝撃性ATSM D-2794テスト | 約11ジュール | 約3ジュール |
銅板との接着性 | 約30Mpa | 約7Mpa |
船のスクリューの芯に塗布した塗料の変化(6カ月経過)
青色=セラム、白色=一般的な円買い対策塗料
セラム製品ラインナップ
STP-ep-hv (STP-ep) |
CN100 iso | SF/LF-3 | UP-2R | ZC-500 (ZC-250) |
232 | |
標準品 | 耐熱性に より優れる |
耐摩耗性に 優れる |
総合的に 優れる |
耐蒸気腐食に 優れる |
水中硬化型 | |
耐塩水噴霧試験 *1 | ≧10,000h | ≧10,000h | ≧10,000h | ≧20,000h | ≧2,000h | ≧10,000h |
耐塩水浸漬試験 *2 | 4,000h | 4,000h | 4,000h | 7,000h | – | 4,000h |
耐熱性(ガス) | 120℃≧ | 170℃≧ | 90℃≧ | 150℃≧ | 500℃≧ (250℃≧) |
90℃≧ |
耐熱性(液) | 95℃≧ | 140℃≧ | 80℃≧ | 130℃≧ | – | 80℃≧ |
耐薬品性 | 〇 | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 |
母材との接着力 *3 | ≧30MPa (≧20MPa) |
≧25MPa | ≧30MPa | ≧30MPa | ≧10MPa | ≧30MPa |
耐摩耗性(摩耗減量) *4 | 40mg≧ | 30mg≧ | 18mg≧ | 20mg≧ | - | 30mg≧ |
圧縮強度 | ≧80MPa | ≧150MPa | ≧ 150MPa | ≧90MPa | ≧50MPa | ≧150MPa |
曲げ弾力性 *5 | >25% (200μ) |
>5% (500μ) |
>30% (200μ) |
- | - | - |
溶剤含有率 | 非溶剤 | 非溶剤 | 非溶剤 | 非溶剤 | 50% | 非溶剤 |
備考 | 膜厚3,000μmで 最大50%の 断熱効果 |
セラムは2液性で主材と硬化剤の化学反応により乾燥硬化します。
ZC250、ZC500のみ1液性です。
*1 ISO4624試験法に基づく
*2 ASTM-D-4060試験法に基づく(塗装膜に砥石を1kgで押し付け1000回転後に塗装膜の摩耗減量を計測)
*3 ASTM-D-522s試験法に基づく
*4 ASTM-B-177試験法に基づく(10,000時間以上の規定はないため本結果は独自によるものです)
*5 ノルウェー国が北海油田の用途向けに作った規格NORSOK-M-501-rev-3の試験法に基づく
(国際規格では海水浸漬試験の規定はありません)
セラム施工実績例
【ご案内】
下記事例はCN-200のものですが、現在廃盤となっております。
後継製品はCN-100 isoとなります。
排水処理 沈降槽へのセラム防食塗料(コート材)の施工実績例(銅精錬所)
セラムの日本国内の某銅製錬所での採用例です。CERAM防食塗料(コート材)が採用されたのは、排水処理設備の沈降槽です。沈降槽の内面に耐薬品防食の目的でCERAM CN200LV2が施工されました。
排水,汚水処理装置の内面防食には伝統的にタールエポキシ樹脂が採用されて来ました。この顧客銅製錬所でもタールエポキシ塗料を沈降槽内面防食の為に採用し続けて来ました。 しかし排水の条件はタールエポキシ塗料にはかなり厳しいものでした。
排水は所内から集められた洗浄排水です。通常、排水は弱アルカリ性pH7~pH9で推移しています。しかし1日に1~2回、強硝酸を含んだ排水が投入され、短時間ではありますが、沈降槽内の排水のpHは一気にpH2まで下がります。 一時的にせよ強い硝酸を含んだ排水が混入し、pHが2まで下がる。これが、タールエポキシ樹脂のコーティング被膜を激しく攻撃し、タールエポキシ樹脂塗装膜は、 施工後6ヶ月を待たずに部分剥離を起こす問題が定常化していました。
排水中のSS分濃度は低く、また沈降したSS分は、摩耗性の低いものである事から、 塗料の選択にあたっては、耐薬品性(耐酸性)、防食性に重点が置かれました。最終的に選択したのは、耐薬品に優れた特性を持つセラムCN-200です。セラムCN-200は耐薬品性に優れているだけで無く耐摩耗性にも優れています(FRPの4倍の耐摩耗性を持っています)また防食性能も高い塗料(コート材)です。(耐海水防食性試験でFRPの3倍の耐海水性能が立証されています)施工に先だって顧客ではセラムCN-200のテストピースを使って6ヶ月間の実液浸漬試験を実施し、性能を現場で確認しました。
セラムの施工に当たっては、下地はサンドブラストかけの1種ケレンを行いました。下塗りプライマーは使用しておりません。塗装被膜(コート膜厚)は薄くしたいと言う要望から、最終的には、CN200と同じ物性を有し粘度のみ低いCN200の低粘度バージョンCN200LV2を選択し、これを2回塗りしました。
1回塗りの膜厚は、300μで、2回塗りで最終膜厚は600μとしました。
上記の写真は施工1年後の開放点検時の写真です。
顧客は1年経過してもセラム塗装膜に全く損傷、剥がれは全く無く、6ヶ月で部分剥離を起こしていた従来のタールエポキシ塗料に比べ大幅な改善となった、との結論を出しました。
セラムのドイツのグラスウール製造工場での排水処理設備沈降槽での実績例
ドイツのグラスウール製造工場に設置された排水処理用の沈降槽(新設)に セラム防食塗料 CN-200が採用された例をご紹介します。
沈降槽に入る排水は工場内の製造設備の洗浄水です。 排水のPH値は7~8、温度は20~30℃で、極端な腐食を誘引する排水ではありません。
但しこの排水中には、2~7mm長のガラス繊維が大量に含まれており、 これが槽内面、円筒、下部攪拌羽根、槽底部の激しい摩耗の要因となっており、耐摩耗対策としてセラムの内面用重防食塗料(コート材)CN-200が採用されました。
セラムの仕様
- 沈降槽は2基、内容量は各160m3、槽材質は鋼板製
- セラム塗装施行前には丁寧にブラストをかけた一次ケレンの下地処理
- セラム塗装施行はエアレス塗装機を使用
セラムの塗装厚み
- 槽の上部、円筒部は1回塗りで 600μ
- 槽の下部、底部、撹拌羽根は2回塗りで 1000μ
- セラムの常としてプライマーは使用していません。
お取引に際して
セラムは、医薬外用劇物に該当するため
毒物及び劇物取締法第14条に基づきお取引に際し以下書類をご提示いただく必要があります。
ご提示が無いと販売することができません。
■卸売業者様、小売業者様
毒物劇物一般販売登録票の写し
■塗装業者様
譲受書
また併せて「施工現場名」「エンドユーザー様」もお伺いをさせていただいております。
予めご了承置きいただきますようお願い申し上げます。
なお、ご提示いただきました個人情報は、
警察等の公共機関から提出要請があった場合を除き、
第三者に公開または譲渡することはございません